税金を払わない巨大企業

トンデモ本とも言われている本書ですが、内容を読むと、
「欠陥の多い日本の税制を是正すべきであり、消費税を第一に考えるべきではない」
と、極めて真っ当な意見を述べています。

確かに、ソフトバンクやユニクロの納税額が純利益に対して、0.006%, 6.92%などと(帯に)書かれると、そればかり強調されてしまい、そこのみを批判する人々が多くて残念!

P12
私は、消費税のような普遍的な間接税は、租税の基本理念に反すると考えています。それゆえに”大型間接税不要論”を強硬に展開してきました。日本の税制の欠陥は、メインタックスである所得課税に欠陥があることです。所得課税の欠陥を是正できれば、消費税は不要です。たとえ消費税を導入するにしても、その前にやるべきことがあります。それは、本来大企業が納めるべき税金を納めなくてもいいようにと、法制を歪めてまで徴税を怠っている現状の租税システムを改め、正常化することです。国民いじめの消費税を第一に考えるべきではないのです。

 

P15
大企業は脱税をしているわけではありません。「脱税」は、法を逸脱して税金をを払わない犯罪です。一方、法に従って税金の支払額を少なくすることを「節税」といいます。ところが、現在の税体系には日本の税法の力が及ばず、グローバル化の時代に追いつけない”抜け道”が多くあります。その大きな問題のひとつが、海外の支社や現地法人を”隠れ蓑”としたり、タックス・ヘイブンの国々を迂回するお金の流れです。「節税」と「脱税」が重なりあっているグレーゾーンの「避税」は、日本をはじめとする先進国の租税行政の課題となっています。

日本の大企業にとっては税制の欠陥に加えて、政府が打ち出した優遇税制によって、税金を引く抑えられた状態が続いています。こした大企業の”尻ぬぐい”をさせられているのが、私たち国民なのです。

 

P113
企業や経営者の経営思想や理念が「税金ができるだけ少なければいい」という考え方に表れているように感じられてなりません。

税金はコストだから安ければ安いほど良い、自分の企業さえ儲かれば日本経済が空洞化しても関係ない、という感覚なのでしょう。哀しいことに、これが現代の多くの大企業の経営者の本音だと思います。

企業の納税行動を透明化するために、「申告所得額の公示制度」(企業長者番付)を復活させ、あわせて納税額を開示する制度を設けることを提案します

巨大企業が、法人所得をいくら申告し、実際にはいくら納税しているかを公表する制度を復活すれば、納税状況の実態を社会に開示し、透明化することができます。そうすれば、大企業の経営者も社会的責任について自覚するでしょう。
大企業の経営者には、今一度、国家とは何か、企業の社会的責任とは何か、ということを考え直してもらいたいと思います。

 

確かに大企業がより税負担を軽くできるという、現状の税制は即刻見直すべき。

P92
私が大企業の問題を取り上げているのは、日本の法人税制が大企業を優遇する一方で、中小企業には優遇措置が適用される条件が整っていないために、法定税率に近い税率が当てはめられているからです。日本の法人税の現状は、「巨大企業が極小の税負担」なのに対して、「中堅・中小企業が極大の税負担」となっていて、企業規模別の視点から見れば「逆累進構造」となっています。

 

P93
課税ベースを”合法的”に少なく算定する仕組みとして、企業側の会計操作や優遇税制の拡大適用、巧妙な手口、それらに対応できない税制上の欠陥などがあります。企業が納税額を少なくする方法には、大きく分けて次の9項目があります。
① 企業の会計操作
② 企業の経営情報の不透明さ
③ 受取配当金を課税対象外に
④ 租税特別措置法による優遇税制
⑤ 内部留保の増加策
⑥ タックス・イロージョンとタックス・シェルターの悪用
⑦ 移転価格操作
⑧ ゼロ・タックスなどの節税スキーム
⑨ 多国籍企業に対する税制の不備と対応の遅れ

 

P130
日本を含めた先進各国において税収確保が困難に陥っている大きな要因は、無国籍化したグローバル巨大企業が、コンプライアンス(法令順守)と企業倫理を前提に組み立てられた税制を逆手にとって、世界的規模で「ゼロ・タックス化」(租税極小化)戦略を追求するのに対して、有効な防御措置がないことです。

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