明治維新という過ち
-日本を滅ぼした吉田松陰とテロリスト-

P11
本書は、「長州・薩摩の書いた歴史」のポイントには触れるものの、それを改めて克明になぞろうとするものではない。諸兄諸君は、学校教育やその後に接した著作物を通してそれは十分ご存知であるとの前提に立ち、それが「御一新」の史実とどういう、或いはどれほどのギャップをもっているかを整理しようと試みるものである。即ち、大仰にいえば世にいう「明治維新」を一度「総括」しようという試みである。

P28
そもそも「明治維新」という事件なり、事変というものは歴史上どこにも存在しない。
強いて簡潔に定義づければ「江戸幕府とその社会体制の転覆を図り、天皇親政を企図して、これらを実現させた、長州・薩摩による一連の政治・軍事活動」とでも表現できるだろう。

P29
私たちが教えられ、現在も公教育が教える歴史観によれば、この明治維新が欧米列強による日本植民地化を防ぎ、明治維新があってこそ日本は近代化への道を歩むことができたとする点である。長州藩士、薩摩藩士を中心とする「尊皇攘夷」派の「志士」たちが、幕府や「佐幕派」勢力の弾圧にも屈せず、「戊辰戦争」で見事に勝利して討幕を成し遂げ、ようやく日本は「近代」の扉を開き、今日の繁栄があるとするのだ。そして、〜であったとする。
私は、以上のほぼすべてを否定する。ここでいう「否定」とは、史実でないという意味である。

P142
つまり、「明治維新」とは昭和になってから、極右勢力によって一般化した言葉であって、幕末の御一新のその時に使われた言葉ではない。

本書は「明治維新」の「総括」であり、「明治維新」のウソを暴くものである。

実は私事であるが、祖父母が会津人ということもあり、幼少期、「長州や薩摩がいかに酷いことをしたか」ということを少なからず聞かされて育った。
そんな背景もあり、幕末-明治のより本当らしいことが書かれていそうな書物がないか、探していた際に見つけた本である。

本書を読むと、私たちが学校教育で教わった出来事がいかに虚像であったかがわかる。

P39
(大政奉還について)
そこで、岩倉具視や薩摩の大久保利通たちはどうしたか。偽の勅許(偽勅)を作った。即ち偽の「討幕の密勅」である。これは、天皇、摂政の署名もなければ、花押もないという”天晴れな”偽物である。

P45
『王政復古』とはいいながら、その実は二条家を筆頭とする上級公家の排除と一部公家と薩長主導の新政権確立の宣言に過ぎない。

討幕の密勅自体が、全くの偽勅であること。
そして、政権確立を目指しておきながら、それに伴う政策は全くと言っていいほど些末なものであったこと。

また、著者に言わせると、坂本龍馬、吉田松陰、勝海舟は過大評価されており、その評価を一般に知らしめた司馬遼太郎に「過ち」としている。

P186
司馬さんには人物でいえば三つの過ちがある。坂本龍馬(司馬さんは「竜馬」という表記で逃げ道を作っている)、吉田松陰、勝海舟の三人を高く評価した点である。

P12
坂本龍馬とはそれほど巨大な人物でも何でもない。
坂本龍馬という男は長崎・グラバー商会の”営業マン”的な存在であったようだ。

P115
私どもの世代が受け、現代も脈々と続いている「官軍教育」の中で、「吉田松陰」はその代表的な偽りである。今も信じられている吉田松陰像とは、大ウソであると断じていい。

ひと言でいえば、松陰とは単なる、乱暴者の多い長州人の中でも特に過激な若者の一人に過ぎない。…ただ、仲間うちでは知恵のまわるところがあって、リーダーを気取っていた。

P123
松陰を「師」であると崇めだしたのは、御一新が成立してしばらく経ってからのことである。「師」として拾い上げたのは、長州閥の元凶にして日本軍閥の祖、山縣有朋である。

ともかく、幕末の多くの英雄が、本書によると血も涙もないテロリストとして描かれている。西郷が「赤報隊」にさせたことなど、反吐がでるほどに不快である。

第5章 二本松・会津の慟哭は、唖然としながら読んだ。
長州藩はこんな酷いことをやったのか、二本松少年隊や白虎隊はこんな想いで戦いに臨んだのか(著者の思い入れが強いが)

「世良修造」とは、いかにクズ野郎か。
こいつを気にする理由は多々あるが、元々世良家に生まれたわけではなく、「世良家の名跡を継いだ」ことが唯一の救い。

いつの時代も、勝者の歴史になる。

自国のことは忘れがちになるが、私たちはそんな歴史にどっぷりつかっているんですね。
そういう意味では、非常に面白く読ませてもらった。

目次
はじめに-竜馬と龍馬-
第1章 「明治維新」といウソ
第2章 天皇拉致まで企てた長州テロリスト
第3章 吉田松陰と司馬史観の罪
第4章 テロを正当化した「水戸学」の狂気
第5章 二本松・会津の慟哭
第6章 士道の終焉がもたらしたもの

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